鳴らない風鈴を、待っている
小さな風鈴を窓辺に吊るした。涼しい音がするかと思ったのに、吊るし終わると風が止まった。短冊だけが、こちらを向いている。
椅子に座ってしばらく待った。何も鳴らないので、洗い物をしに台所へ行った。そのとたん、背中のほうで一度だけ音がした。振り返ると、もう静かだった。
午後は本を読みながら、たまに窓のほうを見る。音を聞こうと待つより、別のことをしているほうがよく聞こえる。風鈴にも、こちらの都合はないらしい。
夕飯を食べていると、短く二度鳴った。箸を止めるほどでもない音だったけれど、そのあと、開けた窓の向こうが少し広く感じられた。