欠けた皿を、捨てずに置いている
白い皿の縁が、少し欠けた。洗い物の途中、別の皿に当ててしまったらしい。指で触れそうになって、慌てて手を止めた。
食器として使うのはやめて、棚の下の段に移した。捨てようと思ったのだけれど、その日に限って、初めてこの皿で食べたものを思い出した。たいした料理ではなく、買ってきたコロッケだった。
しばらく空のままにしていたら、置き場所がちょうどよかったのか、鍵がのるようになった。小さなレシートも一枚。皿は相変わらず白くて、縁の欠けだけが少し影になっている。
今日、外から帰って鍵を置いた。かちん、と短い音がした。食器棚にあったころより、この皿の音をよく聞くようになった。