窓を拭くと、春が少し近かった
窓ガラスの曇りだと思っていたものが、拭いたら取れた。冬のあいだ、ずいぶん長く汚れ越しの空を見ていたらしい。
古いシャツを切った布で、端から順に拭いていく。隅のほこりまで気になり始めて、気軽に始めたわりには時間がかかった。最後に斜めから眺めると、真ん中に大きな拭きむらが残っていた。
もう一度だけ拭いて、窓を開けた。近所のどこかから、土を掘り返したような匂いがする。ベランダの手すりに置いた手が、先週ほど冷たくない。
窓辺に椅子を寄せて、お茶を飲んだ。きれいになったガラスを見たかったのに、結局、開けたままの窓からずっと外を見ていた。