いちごを洗う、小さなざる
いちごを洗うときだけ使っている、小さなざるがある。本当は何に使ってもいいのだけれど、大きさがちょうどよくて、いつのまにかいちごの係になった。
水を流すと、赤い実がひとつだけくるりと回った。へたを取る前に洗うのだったか、あとだったか。毎年同じことを考えて、結局いつも先に洗っている。
白い器に盛って、窓際のテーブルへ運ぶ。一番形の悪いものから食べたら、それが思いのほか甘かった。残りにも少し期待してしまい、ふたつ続けて食べた。
食べ終わったあと、器に小さな赤いしみが残っていた。ざるを洗って吊るす。台所の中で、そこだけ少し春らしい水の落ち方をしていた。