夜の散歩は、遠くへ行かない
夕飯のあと、少しだけ外を歩いた。昼間の熱がまだ道に残っていて、サンダルの足元から上がってくる。空だけが先に暗くなっていた。
いつもの自動販売機が、やけに明るい。何も買わずに通り過ぎたけれど、缶が落ちる音がして、振り返ったら、あとから来た人がお茶を取り出していた。
公園の入口まで行って戻る。昼には目立たない家の灯りが、夜はひとつずつ見える。カーテンの向こうで、誰かが何かを片づけているらしい。
帰って玄関の鍵を開けると、自分の部屋の匂いがした。歩いたのは二十分ほどなのに、少し留守にしていたような気分だった。水を一杯飲んで、今度は窓を開けた。