取れかけたボタンを、やっと縫った
シャツのボタンが、白い糸一本でぶら下がっていた。着るたびに気になって、脱ぐと忘れる。その繰り返しで、いつのまにか三月になった。
午後、裁縫箱を出した。針の穴に糸が通らず、窓のほうに向き直ったら、今度はすっと通った。明るいところでやればいいだけだった。こういうことに、いつも少し遅れて気づく。
縫い終わるまで十分もかからなかった。裏側には不格好な糸の山ができたけれど、引っぱっても取れない。胸元に戻ったボタンを、用もなく二度ほど留めたり外したりした。
夕方、いつものハンガーにかける。直したのは小さな丸いものひとつなのに、シャツ全体が少し頼もしく見えた。