布団の中に、先に春を入れる
湯たんぽにお湯を入れるときは、いつも少し緊張する。蓋をきちんと閉めて、流しの上でそっと逆さにする。漏れていないことを確かめてから、古い布の袋へ入れた。
寝る少し前、布団の足元に置いておく。部屋へ戻ってくるころには、冷たかったシーツの一角が、手のひらみたいな温度になっている。
電気で温めるほうが、たぶんずっと簡単だ。それでも、やかんからお湯を移して、袋の口を結ぶところまでやると、今日の用事が終わった気がする。
朝、残ったぬるいお湯で顔を洗った。鏡の向こうの自分は、まだ眠そうだった。窓の外だけが、昨日より少し明るい。