何もなかった日のために、ノートを一冊
日曜日の午後、買っておいたノートの最初のページを開いた。何を書こうか考えているうちに、窓辺の日なたが椅子の脚を越えていった。
三十代になったら、もう少し暮らしの勝手がわかっていると思っていた。けれど実際は、ごはんの水加減にも迷うし、干したタオルを取り込むのもよく忘れる。今日もベランダに一枚残っていた。
それでも、乾いたタオルを顔に当てたときの匂いや、やかんが鳴る直前の小さな音は、忘れてしまうには惜しい気がする。大きな出来事はなくても、そういうものなら書けそうだった。
とりあえず、今日の昼ごはんと、タオルのことを書いた。最初の一行は少し力んだ字になった。二行目からは、いつもの字に戻った。