扇風機がこちらを向くまで
畳の上に横になると、扇風機の風が頭のあたりを通り過ぎた。首を振って戻ってくるまで、少しだけ待つ時間がある。
子どものころは、その間が待ちきれずに扇風機の正面へ移動していた。今はもう、それほど急がなくなった。片手でうちわを探したけれど、届かなかったので、そのままにした。
眠るつもりではなかったのに、目を開けると部屋の光が変わっていた。頬に畳の跡がついている。読みかけの本は、同じページを開いていた。
立ち上がって、ぬるくなった麦茶を飲む。扇風機は、誰もいなくなった場所へ、まだ律儀に風を送っていた。