傘を乾かすだけの午後
雨がやんだので、玄関に立てかけていた傘を開いた。大きな紺色の布が、狭いベランダの半分を占めた。
傘の下にしゃがんで、骨のあたりを拭く。ひとつひとつの部品をこんなに近くで見ることは、ふだんあまりない。長く使っているのに、知らない小さな留め金があった。
買い物に出るつもりだったけれど、空の明るさが落ち着かないのでやめた。残っていたうどんを茹でて食べる。食べ終わるころ、ベランダで傘が風に押されて少し動いた。
夕方にはすっかり乾いていた。きちんと畳むと、朝より細くまとまった。明日はまた雨らしい。玄関の、取りやすいほうへ戻しておく。