角を曲がる前に、金木犀
角を曲がる少し手前で、金木犀の匂いがした。花が見える前に、毎年ここに木があることを思い出す。
歩道の向こうの塀から、枝が少しはみ出していた。近づくと花は思ったより小さい。この小ささで、道のこちら側まで届くのかと、しばらく見上げた。
帰り道にも同じ角を通った。今度はわかっているので、少し前から息を吸ってしまう。早すぎたらしく、最初は車の匂いしかしなかった。
家に戻って、買ってきた大根を冷蔵庫に入れる。窓を開けたけれど、ここまでは届かなかった。明日もあの角を通る理由が、ひとつできた。